ささやんは、今年の試験に合格できませんでした。
おおくの同級生が合格する中で、ささやんだけが落ちてしまいました。
ささやんは、悔しかったです。
ささやんは、勉強時間が足りませんでした。
ささやんは、身内の不始末に追われてしまい、勉強時間を充分確保することができませんでした。
しかも、不始末を起こした張本人は、謝罪の言葉もありません。
かえって、ささやんの後始末に文句を言い出す有様です。
ささやんは、このとき、家を出て本当に良かったと思いました。
ささやんは、どれだけ文句を言われても、じっと耐えていました。
それが亡くなったお母さんやおばあさんに対する、せめてもの恩返しだとおもったからです。
もしも、ささやんが言い返していたら、どうなっていたでしょうか。
不始末をしでかした張本人は、なにもかもをぶち壊して、投げ出すだけでしょう。
ささやんのお母さんやおばあさんが、大事に育てて遺してくれた全てをうしなうことでしょう。
ささやんは、それががまんできなかったのです。
だから、ささやんは、がまんしました。
爆発しそうになりながらも、必死で必死で堪えました。
そのかわり、ささやんは、誓いました。
あの人とは一緒に仕事はしない、と。
さびしかったけど、
さびしいのは、くやしいよりもマシだと、ささやんは思いました。